1月24日(土)、ICE捜査官がミネアポリスでアレックス゠プレッティを殺害した。5人の捜査官が彼に飛び掛かって殴りつけ、その後1人の捜査官が彼を何度も撃った。複数のアングルから撮影された動画を見れば、プレッティが武装解除された後に、この捜査官が彼を撃ったことが分かる。殺害直後、ウィッティア地区は敢然と立ち上がり、ICE・市警・ミネソタ州警察と4時間以上に渡り闘い、最終的に彼等を撤退させた。
この殺人は、ICEの占領に反対してツインシティーズ(ミネアポリスとセントポールから成る都市圏)で10万人以上の労働者がストライキに突入した歴史的なゼネストの翌日に起こった。街頭にいた多くの人々は、連邦捜査官がアレックスを殺害したのは、そのストライキへの報復行為だと語っていた。
ICEは何ら罪に問われることなく殺人を繰り返している。こうした事態を可能にしている地元警察と州警察の役割を、私達は改めてここでも指摘したい。民主党の政治家達(訳註:ミネソタ州は民主党が強い)はICEの戦術に否定的な姿勢を示しているが、彼等も、彼等の指揮下にあるはずの警察も、連邦捜査官による威嚇・誘拐・殺人を止めるための具体的な行動を未だ何も取っていない。
以下はミネアポリスのアナキストによる目撃報告である。
今朝9時15分、電話が何度もブンブン鳴る音で起こされた。最初に目に入ったテキストは「グラム゠ドール゠ドーナツ前のウィッティア/アップタウンで緊急事態:ICEに撃たれた人がいる」だ。朦朧とした頭でカフェインシロップを水筒に注ぎ込みながら、この情報を処理する。服を5枚重ね着し、ゴーグルとマスクを付け、職場に病欠の連絡を入れて現場へ急いだ。
到着した時には、既に26丁目の3ブロックに渡って黄色い立ち入り禁止テープが張られていた。覆面姿のICE捜査官と国境警備隊員がショットガンと催涙スプレー缶で武装し、周囲を警戒している。救急車が1台、現場に残っていた。立ち入り禁止テープの周りには群衆がいたが、誰もテープを越えようとはしない。友人が群衆の中で私を見付け、肩を軽く叩いた。被害者は死んだと誰かが私に告げる。1人がすすり泣き、大多数は連邦捜査官を罵っている。1人の高齢女性が国境警備隊の突撃隊員の目前で「あなたは地獄に落ちるのよ!」と叫んでいる。彼は催涙スプレー缶を突き付けて彼女を威嚇していた。
私達の後ろ、1番街で3人がゴミ箱を通りへ転がし始める。ICE捜査官が彼等に向けて催涙ガス弾を発射する。友人と私はガスから逃れるために1番街を南へ走り出した。右折し、再び右折してニコレット通りを進み、ニコレット通り26丁目交差点に出た。そこはICEが30分程前に男性を殺害した場所だ。ここには連邦捜査官の散兵線と対峙する更に大きな群衆がいた。私達は別の友人に気付き、駆け寄った。
その時だ。私達がいる場所から2~3ブロック北西の方角で閃光弾が炸裂する大きな音が聞こえた。「俺の車で行こう」と友人が叫ぶ。彼はニコレット通りに車を停めていた。彼の車に飛び乗り、Uターンして、ICE捜査官達から猛スピードで逃げた。私達は何度か曲がり、25丁目とブレイズデル通りの交差点に着いた。
通りの突き当たり、ニコレット通り近くに、ミネアポリス警察(MPD)の機動隊員が列をなしている。彼等が黄色いベストを着ていたのでそれと分かった。ブレイズデル通り近くの私達とブタ共の間には、人々の一団がゴミ収集箱・大型ゴミ箱・コンクリートブロック・木製パレットを使ってバリケードを築いている。至る所で「くたばれICE、出て行けICE!」というコールアンドレスポンスのチャントが響く。人々はリズムに合わせてゴミ箱を叩いている。誰かがバリケードの前に、手製の鉄菱のように見えるものを撒いている。
私達がバリケードに近づくと、群衆は警官隊に向けてゴミ収集箱を押し出し始めていた。誰かがそのゴミ収集箱に火を点ける。1人の男性が私達に向かって叫んでいる。群衆に向けた平和ケーサツの無駄な試みだ。誰も耳を貸そうとしない。数人がすぐに彼をその場から連れ出す。燃えるゴミ収集箱を炎が包み込む。人々は燃え盛るゴミ箱を更に前に転がす。
燃えるゴミ収集箱を炎が包み込む。
警察は催涙ガスやゴム弾を撃ち始めた。彼等の狙いはそれほど正確ではない。今年になって初めて、彼等がペッパーボールや催涙ガスではなくゴム弾を使っているのを私は目にしている。群衆は後退し、警官達が突進してバリケードを制圧する。3人の警官が私の近くにいた1人にタックルして逮捕し、彼女を地面に叩き付けた。私は叫び、一瞬振り返るが、すぐに催涙ガスでむせ返り、ブレイズデル通りの方へ退かざるを得なかった。一部の人々は退却しながら警官にガラス瓶や氷のかけらを投げつけていた。
群衆は路地からさらにゴミ箱を引っ張り出し、すぐに後方に新たなバリケードを築き始めた。車で一緒に来た友人を見失ったが、すぐに別の知り合いを見つけた。一部の人々は、26丁目を西へ下がってバリケードを築き続けるよう叫び始める。この即席の戦略はたちまち広まる。人々は通りを走り抜け、ゴミ箱やタイヤを背後に置き、警察の前進に合わせて小さなバリケードを次々と築いていく。
1人の女性が玄関先から眺めていた。誰かが駆け寄り、彼女に声を掛ける。「奥さん、私達はICEからこの地区を守っているんです。バリケードの材料が必要です。庭に手放していいものはありませんか?」彼女はすぐに頷き、裏庭へ案内し、花壇の縁・古いソファ・ローンチェアを差し出す。3人がこれらを運び出し、バリケードに加えた。
このいたちごっこが続く中、3ブロック離れた交差点南側のニコレット通りで別のバリケードを守る人達からSignalでメッセージが届いた。私達はMPDと対峙していたが、向こうはICEと対峙しているという。友人と私はそちらに合流することにした。幾つかの路地を抜けて27丁目に出る。
私達は左に走り、地元の人々が「イート゠ストリート」と呼ぶニコレット通りのレストラン街に出た。その先には木製パレットで組まれたバリケードの後ろに、遥かに多くの群衆がいた。反対側にはICEとCBP(税関・国境警備局)の捜査官による散兵線(訳註:横一列に並ぶ警官隊)が張られている。彼等の目に恐怖の色が浮かんでいるのが見えた。ざまあみろ。
バリケードに近づくや否や、ICEが催涙ガスを撃ち始めた。催涙ガスには慣れているとはいえ、これほどの量を見たのは初めてだ。有害な白い雲が私達を包み込み、肺が焼けるように痛む。誰かが弾筒を拾い上げて投げ返した。私達はニコレット通りを南へと突進してその場を離れた。ガスの煙越しに振り返ると、ICEのSUVとベアキャット装甲車が現場を離れ、高速道路の方角へ東に向かっていくのが見えた。
私達は、私が最初にいた1番街まで走り、退却する捜査官を追おうとした。そこから北へ折れて走り、26丁目まで戻った。人々は、35Wの入口へ向かって走り去る車に石や氷の塊を投げ付けている。捜査官達は高速道路へ逃げ込む際、車両からさらに催涙ガスと緑色の煙を撃ち出してきた。
人々がICE捜査官を追い払った後、私達は東側からニコレット通りと26丁目の交差点に戻った。26丁目の一方の端には多数の州警官隊が横一列に並び、反対側の抗議者達と対峙している。ベアキャットの上にはLRAD(長距離音声発生装置)が据え付けられている。警官の1人が拡声器で解散警告を読み上げた。
「黙れ、クソ野郎!」と誰かが叫び返す。
「裏切り者!」と別の誰かが叫ぶ。
州警官隊は催涙ガスと閃光弾の猛攻を浴びせてきた。誰かが強力な爆竹を拾って投げ返す。それが警官達の足元で炸裂した。
群衆は急いで引き返し、別の通りへと左折した。誰もが長い朝の行動で疲れ切っており、多くの人の動きが鈍くなっていた。州警察の車両が、自分達の撒いた催涙ガスの雲を突き抜けて猛スピードで逃げていくのが見えた。まさにICE捜査官達と同じだった。しばらくして、彼等の姿がもう消えていることに気づいた。
私は進行中の抗議行動から抜け出した。本物のガスマスクを買うには、もういい頃合いだった。ホームセンターに寄り、大袋入りの使い捨てカイロを買って皆に配った。アドレナリンが引いてようやく、まだ何も食べていないことに気づいた。ひどく腹が減っていた。
45分ほどして殺人現場に戻ると、1000人を遥かに超える群衆が集まり、街区全体を埋め尽くしていた。まさにジョージ゠フロイド広場を思い起こさせる光景だ。かつてイート゠ストリートと呼ばれた区画は、アレックス゠プレッティ広場へと姿を変えていた。
ウィッティアの人々が築いた小さなバリケードはすべてここに集められ、ニコレット通りの両端を塞いでいた。人々はゴミ箱の上に腰を下ろし、蓋を叩いてリズムを刻んでいる。群衆は、私がこの地区で見た中でも群を抜いて人種的に多様だった。群衆の中央付近では、メヒコ国旗が風にはためいていた。
若い女性が群衆の真ん中にPAシステムを持ち込み、皆がその周りを取り囲んで、順番にスピーチをしていった。
若い男性がマイクを手にした。まだ20歳にも満たないように見えた。
「みんな。誰も俺たちを助けに来たりしない。昨日、俺達は歴史を作った。ゼネストを打って、このクソみたいな街を丸ごと止めたんだ。それこそ民衆の最大の武器だ。世界を動かしているのは俺達だ。止められるのも俺達だ。でも、一日じゃ足りない。月曜まで続けるぞ。」
群衆は雷鳴のような拍手と歓声を上げ、ゴミ箱の蓋をリズムに合わせて叩いた。
若者はシュプレヒコールを始めた。「上品なミネソタ、もう終わりだ!月曜はミネソタ、ゼネストだ!」
その声は広場の隅々まで響き渡った。
ICEによるツインシティーズ侵攻は、もはや後戻りできない段階をとうに超えてしまった。私達が目にし、身をもって感じたことの後で、社会が「普通」に戻るなど到底あり得ない。権力者達は、もはや本気で戦わねばならないと充分に理解している。私達も同じだ。
今日、ウィッティアの戦いで私達は、催涙ガスの中にあってさえ、これから訪れるより柔らかく穏やかな未来の気配を味わうことができた。この連邦の殺人者どもも、それを理解している。私達は、私達が胸に抱く新しい世界の下へ、奴等を葬り去るだろう。
参考文献
- The Noise Demonstrations Keeping ICE Agents Awake at Their Hotels: A Model from the Twin Cities
- Protesters Blockade ICE Headquarters in Fort Snelling, Minnesota: Report from an Action during the General Strike in the Twin Cities
- From Rapid Response to Revolutionary Social Change: The Potential of the Rapid Response Networks
- Rapid Response Networks in the Twin Cities: A Guide to an Updated Model
- North Minneapolis Chases Out ICE: A Firsthand Account of the Response to Another ICE Shooting
- Minneapolis Responds to ICE Committing Murder: An Account from the Streets
- Protesters Clash with ICE Agents Again in the Twin Cities: A Firsthand Report
- Minneapolis to Feds: “Get the Fuck Out”: How People in the Twin Cities Responded to a Federal Raid




